っふぃろらぼ

自己顕示欲を満たす傍ら、ちょっぴり文化興進できたら良いなぁとか夢見るブログ

映画『三度目の殺人』感想

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(映画『三度目の殺人』公式サイト)

 

前から気になってたんです、この作品。本日観てきました。

関ヶ原』も同時に公開しておりますし、役所広司、出ずっぱりですね。そしてよく人を殺しますね。

そして広瀬すずもこういう役回りに引っ張りだこですね。

 

◆前情報について

映画が公開される以前、是枝監督がいくつかのテレビ番組にて作品についてコメントしているのを見ました。

一貫して監督は「今回のテーマは、『人は人を裁けるのか』ということ」というようなことを仰っていました。

そして、今作の中心になっているのは面会室である、とも語っていました。監督によると、撮影の手法によって、重盛弁護士(福山雅治)と三隅容疑者(役所広司)の顔が重なるように演出されているのだそうです。

劇場ではその点に注意して鑑賞しました。

 

◆シナリオについて

ムズイ。

何が起きているのか、物語がどのように展開したのか、というのは非常にわかりやすいのですが、それをどう理解したら良いのか、というのが非常に難しい。各シーンにどのような意味が込められており、各人物がどのような意図で行動したのかを解釈するのが難しいのです。

ですが尤も、本作全体の雰囲気に鑑みて、「どう理解したら良いのか」という考え方がそもそも誤っているのでは、と感じました。

是枝監督自身、鑑賞者の想像力に非常に重きを置く方です*1監督の意図を汲み取るのであれば、「どう理解したら良いのか」なんてものはなく、どう理解するのかは全く私たちに委ねられているのではないでしょうか。

あえて描かれなかった部分を存分に想像するのが良いでしょう。

逆にいえば、それが本作の醍醐味といえましょう。

 

◆登場人物/キャストについて

本作、登場人物に一切の無駄がありません。映画では当たり前なのかもしれませんが...

主人公である重盛、三隅、咲江だけでなく、重盛の同僚三人、咲江の母、重盛の父・娘、検察官、裁判官...

全ての主要人物が重要な役割を果たしています。

それぞれが重盛の意識の転換の契機になると同時に、鑑賞者への問いかけを担っています。

全編を通して重盛の人間性が少しずつ変化していく様子も見どころです。

 

◆まとめ

一言でいうならば、本作は非常に文学的な作品だと思います。「人は人を裁けるのか」というテーマは決して一方面から捉えられるものではなく、社会、哲学、心理学...様々な要素を勘案しなければならないものです。

本作の問いかけは日本の司法制度に対するものではなく、「裁く」という普遍的な概念に対するものです。

この作品から何を得るのかは鑑賞者に委ねられており、全くお膳立てされていない。それ故の「豊かさ」は他作品の追随を許しません。

是非、あなた自身の考え方でこの作品を解釈してみてください。